●仏造船所が縦帆装備のクルーズ船を開発

 仏アトランティーク造船所が帆走クルーズ客船の開発に取組んでいる。引渡し直後のMSCクルーズのMSCヴィルトゥオーサMSC Virtuosa船上で2月に行なわれた会見で,計画を表明した。同社では縦帆設備の本格的研究を2008年から始め,すでに5分の1サイズの試作モデルによるテストを2年間行なっている。今後は原寸サイズで帆走推進装置「ソリッドセイル/エオル・ドライブ」(Solid Sail/Aeol Drive)の最初のモデルを造船所内に設置する。まず前段階として2021年秋にマスト高約38メートルの小型タイプを設置し,2022年に,実船サイズの地上約95メートルのマスト,ソリッドセイルと呼ぶ約1,200平方メートルの複合材の折畳み式セイル,エオル・ドライブと呼ぶリギンで構成された帆走装置を設置する。これらで実船設置に必要な技術的検証等を行なう。装置は全帆走ではなくエンジンとの併用を想定し,排気ガス50パーセント以上の削減を目指している。また,マストは70度まで傾けることができ,橋のかかるパナマ運河などの航行も可能という。当面,全長200メートル程度の中型クルーズ客船への導入を図っていく。

               (CHANTIERS DE L’ATLANTIQUE)