●三井E&S造船の艦艇部門 三菱への譲渡契約締結

 三井E&Sホールディングス(MES-HD)と三菱重工(MHI)は3月29日,MES-HDの子会社三井E&S造船(MES-S)の艦艇事業等のMHIへの譲渡について,吸収分割方式で譲渡する契約を結んだと発表した。新会社のMM艦船事業分割準備会社がE&S-S対象事業を承継し,株主総会の承認などを経て,10月1日にNHIが新会社のすべての株式を取得する。対象事業はMES-Sが運営する艦艇・官公庁船事業および特機・水中機器事業の2つ。これらの建造や修繕は玉野艦船工場で継続し,同工場の従業員約700人のうち約400人がMHI側に移る。玉野艦船工場はMES-HDが保有しMHIに貸与する。

 これによりMHIは,建造および修繕拠点として玉野が新たに加わり,補給艦や海洋観測艦,海上保安庁向け巡視船や水産庁向け漁業取締船,同調査船などに建造船種を広げると同時に,海自呉基地に近い玉野を修繕事業でも活用できるようになる。一方のMES-HDではMES-Sの商船事業について,昨年方針を示した設計開発力を生かしたファブレス(fabless)事業(自社で生産設備を持たない事業)に注力。中国揚子江船業との合弁造船所江蘇揚子三井造船(YAMIC)や,同じ3月29日に資本提携(MES-Sの49パーセントの株式譲渡)の合意書を締結した常石造船への建造委託が中心になる。

                         (三井E&S造船)