■令和3年度防衛予算の概算要求決定

 9月30日,防衛省は令和3年度(2021年度)の業務計画案と概算要求を決定し,財務省に提出した。

 防衛関係費の総額は5兆4,898億円(SACO関係経費等の一部物件費を除いた額は5兆4,897億円)で,対前年度比伸び率は3.3パーセント(同8.3パーセント)。

 なお3年度概算要求額では,SACO関係経費,米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分,イージス・アショア代替措置関連経費,東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴うテロ対策等関連経費について,事項要求としており,上記の要求額には含まれていない。

 海上自衛隊関係の総額は1兆3,508億円で,対前年度伸び率は16.6パーセント。

 新たに要求された自衛艦は以下の3隻(10,800トン)で,総額1,681億円。

 ▽3,900トン型護衛艦(FFM) 2隻

 ▽3,000トン型潜水艦(SS) 1隻

 3,900トン型護衛艦は30FFMの7,8番艦で,1~6番艦と同仕様である。潜水艦は29SSの5番艦。

 就役中の自衛艦の艦齢延伸化対策としては,“むらさめ”型護衛艦1隻の工事と2隻の部品取得に58億円,“こんごう”型護衛艦1隻の工事と2隻の部品取得に65億円,“あぶくま”型護衛艦2隻の工事に0.6億円,“おやしお”型潜水艦8隻の工事と4隻の部品取得に63億円,“そうりゅう”型1隻の工事に2億円,“おおすみ”型輸送艦の部品取得1隻に33億円,試験艦“あすか”の部品取得に25億円,“ひびき”型音響測定艦1隻の工事1隻に5億円が要求された。

 このほか,“あさひ”型護衛艦の能力向上の部品取得2隻分に14億円,“たかなみ”型護衛艦の短SAMシステムの能力向上の工事1隻に1億円,“たかなみ”型護衛艦対潜システムの近代化改修の部品取得1隻に7億円,艦艇搭載戦闘システム電子計算機等の更新の工事7隻と部品取得5隻分に88億円,護衛艦CIWSの近代化改修の工事5隻と部品取得4隻分に2億円,潜水艦戦闘システムの近代化改修の工事1隻と部品取得1隻分に22億円,短SAMシステム3型等の計算機能力の向上の工事2隻と部品取得1隻に10億円,“おおすみ”型輸送艦の能力向上の工事1隻分に3億円,“あたご”型イージス・システム搭載護衛艦の能力向上2隻に2億円,“いずも”型護衛艦の改修(“かが”,飛行甲板の耐熱塗装等に加え,F-35B STOVL戦闘機を安全に運用するために艦首形状を四角形に変更)に231億円が要求されている。

 支援船は260トン型曳船2隻,490トン型油船2隻,270トン型油船1隻,25トン型交通船2隻,1.9トン型特別機動船1隻が要求されている。

 航空機の新規要求は以下のとおりで,総額819億円。

 ▽P-1哨戒機 3機

 ▽US-2救難飛行艇 1機

 ほかに機齢延伸として,P-3C哨戒機4機に16億円,SH-60K哨戒ヘリコプター3機に73億円が要求された。能力向上として,UP-3D電子戦訓練支援機1機に4億円,SH-60K哨戒ヘリコプターの救難仕様改修1機に10億円が要求されている。なお,航空自衛隊はF-35B戦闘機2機に264億円を要求した。