■イージス・アショア代艦に多胴船型を検討

 昨年12月,政府は廃案となった陸上配備型迎撃システム(イージス・アショア)に代わる弾道ミサイルの迎撃手段として,新型イージス艦(イージス・システム搭載艦)2隻の整備を閣議決定したが,去る4月9日に海上自衛隊は,この設計作業に向けた情報収集に当たる業者の募集要項を公表した。

 これによると,業者の選定条件の一つに「最新の多胴船の設計・製造等の経験を有すること」が含まれており,イージス・アショア代艦の船型の候補に多胴船型が挙がっていることが判明した。

 多胴船型は一般的な単胴船型と比べ広い甲板面積が確保でき,かつ動揺性能に優れた特質があり,米海軍のインディペンデンスIndependence級沿海域戦闘艦(三胴船型)やわが国の“ひびき”型音響測定艦(SWATH,双胴船型)などに採用されている。

 ダメージ・コントロールなどの点で大型水上戦闘艦にはやや不向きともされるが,洋上で長期に渡って低速でBMD哨戒任務に従事するイージス・アショア代艦の船型としては理にかなったものといえるだろう。また過去に防衛省技術研究本部(当時)は,将来自衛艦を念頭に置いた三胴船の研究を行なっている。

 現時点でイージス・アショア代艦への多胴船型の導入は可能性の一つに過ぎないが,今後の動向が注目される。