●海上保安庁が令和6年度概算要求を公表

 8月24日,海上保安庁は令和6年度(2024年度)概算要求を公表した。令和6年度要求の基本的な考え方は以下のとおり。

 近年の一層厳しさを増すわが国を取り巻く国際環境を踏まえ,「海上保安能力強化に関する方針」に基づき,巡視船,航空機等の大幅な増強整備などハード面の取組みを行なう。

 これに加えて,新技術の積極的な活用や,防衛省・自衛隊,警察,外国海上保安機関等の国内外の関係機関との連携・協力の強化,人材育成などのソフト面の取組みも推進することにより,海上保安業務の遂行に必要な6つの能力(海上保安能力)を一層強化する。

 また,救助・救急体制の強化や治安・防災業務の充実,海上交通の安全確保,防災・減災,国土強靭化の推進に取り組み,国民の安全・安心を確保するための業務基盤の充実を図る。

 令和6年度概算要求の総額は2,759億円(前年度比1.13倍)である。主な新規分の要求は以下のとおり。

 ①新安保戦略を踏まえた海上保安能力の強化:1,370.4億円。

 ◇新たな脅威に備えた高次的な尖閣領海警備能力

  ▷大型巡視船4隻(9年度就役)の新造に39.4億円。

  ▷巡視船搭載ヘリコプター2機(8年度就役)の調達に5.2億円。

 ◇新技術等を活用した隙のない広域海洋監視能力

  ▷無操縦者航空機2機(7年度就役)の調達(リースではなく機体購入)。

  ▷無操縦者航空機の運用拠点の移転に15.9億円。

  ▷中型ジェット機の2機(9年度就役)調達に3.0億円

  ▷中型ヘリコプターの2機(8年度就役)調達。

 ◇大規模・重大事案同時発生に対応できる強靭な事案対処能力

  ▷大型巡視船1隻(9年度就役)の新造に7.5億円。

 ◇戦略的な国内外の関係機関との連携・支援能力

  ▷自衛隊との秘匿通信の強化に1.0億円。

  ▷国民保護活動のための調査研究・資器材整備に0.6億円。

  ▷国際業務展開のあり方調査に0.4億円。

 ◇海洋権益確保に資する優位性を持った海洋調査能力

  ▷新型測量船(高機能代替)1隻(9年度就役)に5.1億円。

 ◇強固な業務基盤能力

  ▷ヘリコプター搭載型巡視船2隻(9年度就役)の新造に26.2億円。これらは“やしま”(PLH-22),“さがみ”(PLH-03)の代替である。

  ▷小型巡視船1隻(8年度就役)の新造に3.7億円。

  ▷小型巡視艇1隻(6年度就役)の新造に7.0億円。

  ▷巡視船搭載ヘリコプター2機(8年度就役)の調達に5.2億円。

  ▷教育機関へのICTの活用に1.6億円。

 ②国民の安全・安心を守る業務基盤の充実:88.9億円

 ◇救助・救急体制の強化

  ▷道北対応巡視船の設備改修および奄美拠点確保に1.3億円。

 なお,令和6年度概算要求の大型巡視船がすべて承認されれば,その保有数は令和4年度末の71隻から令和9年度末には90隻に増加する見込みである。