■防衛白書を公表

 7月28日,令和5年版防衛白書が,閣議了解のうえ,公表された。今回の白書は,昨年12月の安保3文書改定を受けたものとなり,3文書の策定経緯や内容などが詳しく述べられている。さらに,アジア太平洋地域で軍事的圧力を強める中国と,ウクライナ侵攻を続けるロシアが連携を強めることに対し,日本を含む国際社会は,「戦後最大の試練の時を迎え,新たな危機の時代に突入しつつある」との警鐘を鳴らしている。

 さらに,わが国防衛力の抜本的強化に当たって重視する能力として,スタンド・オフ防衛能力,統合ミサイル防衛能力,無人アセット防衛能力など7つの重視分野が挙げられた。

 統合ミサイル防衛能力では,わが国の取りうる手段として,①ミサイル防衛システムにより公海およびわが国の領域の上空で,敵のミサイルを迎撃する,②そのうえで,わが国へのさらなる攻撃を防ぐため,必要最小限度の自衛の措置として,相手の領域において,スタンド・オフ防衛(敵基地攻撃)能力を活用することが示された。この手段として,イージス・システム搭載艦の整備,指向性エネルギー(レーザー)兵器による小型無人機への対処能力強化,極超音速兵器への対処能力の研究などが示された。