■令和4年度防衛予算の政府案決定

 政府は12月24日,令和4年度(2022年度)防衛関係費の政府案を閣議決定した。予算は,5兆1,788億円で,対前年度伸び率は約1.1パーセント増と,10年連続の増加となった。また,これとは別枠でSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費137億円,米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分として2,080億円が計上されており,これらを合わせた総額は5兆4,005億円で,過去最高額である。

 なお,11月26日に閣議決定され,12月20日に成立した3年度補正予算6,873億円(米軍再編関係経費のうち地元負担軽減分865億円を除いた額で,これを含む額は7,738億円)と令和4年度政府予算案を合わせて「防衛力強化加速パッケージ」と呼称している。その合計額は5兆8,661億円(SACO関係経費等を含めると6兆1,744億円)で,GDP(国内総生産)比は約1.1パーセントとなった。

 4年度予算案で新たに整備される海上自衛隊艦艇は,6隻(17,890トン)で,その内訳は以下のとおり。

 3,900トン型護衛艦(FFM) 2隻(1,045億円)

 3,000トン型潜水艦(SS) 1隻(740億円)

 690トン型掃海艦(MSO) 1隻(135億円)

 3,500トン型海洋観測艦(AGS) 1隻(280億円)

 2,900トン型音響測定艦(AOS) 1隻(196億円)

 3,900トン型護衛艦は,“もがみ”型の9,10番艦である。なお,3年度補正予算で垂直発射装置(VLS)2隻分のFMS取得費用85億円が認められているが,これは同年度計画の7,8番艦搭載用で,9,10番艦用のVLS取得費は4年度予算には含まれず,今後時期を改めて要求することを検討している。これにより,“もがみ”型で最も早くVLSを搭載するのは当初の9,10番艦から7,8番艦に前倒しとなった。 3,000トン型潜水艦は“たいげい”型の6番艦,690トン型掃海艦は“あわじ”型の5番艦,3,500トン型海洋観測艦は“わかさ”代艦の新型,2,900トン型音響測定艦は“ひびき”型の4番艦である。

 ほかに“いずも”型護衛艦の改修に61億円が要求されており,その内訳は“かが”の航空管制室の改修に24億円(第1次改修用),“いずも”のJPALS(着艦誘導装置)の取得に36億円(第2次改修用),アメリカからの技術支援に12億円である。また哨戒艦の基本設計に4億円,陸自予算で中型級船舶(LSV)1隻と小型級船舶(LCU)1隻の取得に102億円が要求されている。

 4年度予算で新たに要求された海自の航空機は,MCH-101掃海・輸送ヘリコプター1機(90億円)で,空自がF-35B STOVL戦闘機4機(510億円)である。ほかに3年度補正予算でP-1哨戒機3機(657億円),US-2救難飛行艇の外翼等に68億円(胴体は3年度当初予算で取得済み)が計上された。

 主要装備品については,海自向けのスタンダードSM-6ミサイル,機雷,魚雷などの弾薬を含めて,3自衛隊とも4年度概算要求の全数を3年度補正予算と4年度政府予算案で取得できる見込みである。