アンドゥリルが海底設置用ソナーと多用途の高速AUVを披露

 アメリカの防衛技術企業アンドゥリルが,迅速展開が可能な潜水艦監視システム,シーベッド・セントリー(Seabed Sentry)をお披露目した。
 海底に展開する潜水艦監視システムとしては,パッシブ・ソナー・アレイを展開するSOSUS(Sound Surveillance System)が知られているが,これはソナーと陸上施設をケーブルで接続するための陸揚げ施設を必要とするうえに,経費もかかる。それに対してシーベッド・セントリーは,水中音響通信を使用するため,通信用のケーブルを必要としない。
 筐体は直径21インチ(533ミリ),全長8フィート(2.44メートル)と小型で,そこにウルトラ・マリタイムが開発したシー・スピア(Sea Spear)というソナーを組み込んで海底に展開する。アンカーを装備しており,展開後はそれを用いて位置を固定する仕組み。そのアンカーを切り離すと浮上するので,回収・再利用が可能。
 ソナーは基本的にパッシブ・オペレーションを実施して,必要に応じてソノブイ,あるいはUUVが装備するアクティブ・ソナーで探信させる。探知データは水中音響通信によって送信するが,伝送能力に限りがあるため,生のデータそのままではなく,エッジ処理(出先での現地処理)を行ない,トラック・データだけを送信する。(The War Zone 2025/4/3)
 そのアンドゥリルは,高速潜航が可能なAUV(Autonomous Underwater Vehicle)カッパーヘッド(Copperhead)も発表した。カッパーヘッドは速力30ノットと,AUVとしては脚が速い。これを,Dive-LDやDive-XLといった,他の無人ヴィークルに搭載して送り込み,目標の近くで発進させる構想。サイズやペイロードが異なるカッパーヘッド100とカッパーヘッド500があり,ソナーや磁力計などの各種センサーを搭載できる。
 また,炸薬を搭載する自爆突入型AUVとしても運用でき,これをカッパーヘッド100Mまたは同500Mと称する。使い方は魚雷と似ているが,「魚雷は潜水艦や水上艦への搭載を前提としており,冷戦期と同じ発想で作られている。もっと自律性が高く,迅速な配備を可能にしたのがカッパーヘッドMだ」というのが同社の説明。(Naval News 2025/4/7)