●川崎重工が世界初の舶用水素ボイラーを開発
川崎重工は5月31日,水素を燃料とする舶用水素ボイラーの基本設計を,世界で初めて完了したと発表した。同社がLNG船などで培った舶用ボイラー技術やノウハウ,水素燃焼技術のシナジーを活用し,実用化されている陸上用と異なり,動揺や設置スペースの制限といった船上運用なども考慮して開発した。このボイラーは,蒸気タービン・プラントや燃料供給システムと組み合わせ,二元燃料推進システムとして大型液化水素(LH2)運搬船(16,000㎥型。先月号本欄参照)に搭載する予定(1隻当たり2缶)。蒸発量70t/h(1缶当たり),蒸気圧力5.9MPaG,蒸気温度530℃。航海中にBOG(Boil off Gas)を推進に活用するほか,水素ガス以外に燃料油専焼,水素と燃料油の任意混焼も可能。今後は詳細設計を行ない,2020年代半ばの実用化を目指すLH2船に搭載し,水素社会実現に向け実証を進めていく。
(川崎重工)