1997年 9月号

東京湾に時ならぬパニック
大型タンカー「ダイヤモンド・グレース」の油流出事故

 去る7月2日,パナマ籍タンカー,ダイヤモンド・グレース(255,999重量トン)が,横浜沖の東京湾中ノ瀬で底触,約1,550キロリットルの原油が海上に流出した。事故発生と同時に海上保安庁は多数の巡視船艇を動員,さらに海上自衛隊などからも艦船の参加を得て大規模な回収作業を展開,3日間でほぼ流出油の回収を終えた。なお4日までに投入された艦船の延べ数は,巡視船艇210隻,海上自衛隊,米軍などの艦船92隻,民間船93隻に達した。今回の事故は,東京湾内で生起した初の大規模な油流出事故だったが,迅速な対応によって被害を最小限度で食い止められたことは,不幸中の幸いであったといえる。しかし航行船舶が輻輳する東京湾の安全確保,座礁が油流出に直結しやすいシングル・ハル型タンカーの脆弱性など,今後に多くの課題を残したことも事実である。

写真:横須賀地方総監部


事故の翌日,船倉に残った油を抜くため川崎シーバースに回航されたダイヤモンド・グレース。船首正面に見えるブイはシーバースの油移送装置。

事故発生当日,横須賀から現場に急行した護衛艦“ちとせ”艦上からの撮影。艦上では乗員が油処理剤を散布している。画面遠方には同じく災害派遣で出動した護衛艦や掃海艇が見える。

搭載艇を降ろし,油回収の準備を行なう海洋観測艦“わかさ”。7月4日の模様で,後甲板には袋詰めの油吸着マットが積み上げられている。


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