1997年 9月号

薄命の豪華客船「新田丸」級
今に残るカラースキーム

 日本郵船の英語略称「NYK」を頭文字に持つ三姉妹船新田丸級は,欧州航路の老齢船の代船として政府の補助を受けて建造された。航路の性格や競合外国社船に対抗するため,大型かつ豪華な内装とされ,浅間丸級ではほとんど輸入に頼った艤装品も国産となったことで,戦前の日本客船で最も優れたクラスであったといえよう。ただし3隻のうち1隻は完成前に空母に改装され,残る2隻も運航期間はわずか1年余とあまりにも短く,太平洋戦争勃発とともに空母となって戦火に散ったのは周知のとおりである。1番船新田丸の主要目は,17,150総トン,全長179.8メートル,主機蒸気タービン2基,2軸,出力25,500馬力,航海速力18ノット,船客定員一等127名,二等88名,三等70名。建造所はいずれも三菱長崎造船所。ここには残された本級の数少ない写真と残されたカラースキームから往時を偲んでみた。


昭和15年2月15日,長崎港外三重沖で試運転中の新田丸。すらりと伸びた船首やハウスの形状など,近代的な美しさを感じさせる。この時の最高速力は22.478ノットに達した。この後最終工事を経て3月23日に竣工している。〈三菱重工長崎造船所所蔵〉

春日丸「一等社交室」。いわゆるラウンジで、プロムナード・デッキの最前部にある。

新田丸「一等大食堂」。プロムナード・デッキ後部にあった。柱や壁面など非常に凝った作りになっている。

春日丸「一等特別食堂」。特別食堂は大食堂の右舷前部に隣接して設けられていた。本船は客船としては完成しなかったので、このようなカラースキームでしか船内の様子を知るすべはない。

新田丸/八幡丸/春日丸「二等社交室」。二等公室は3船共通で描かれているので実際も同じ造りであったと思われる。いずれもブリッジ・デッキの後部第4カーゴ・ハッチ付近に設けられていた。


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